Archive for the ‘改正相続法’ Category

相続Q&A 12

2019-12-20

Q12

被相続人の所有であった建物が他の者との共有であった場合、配偶者居住権は消滅してしまうのでしょうか?

 

A12

被相続人の所有建物が配偶者の財産に属するものとなった場合であって、その居住建物が他の者と共有の状態にある時でも、配偶者居住権は消滅しません(新民法1028条2項)。

相続Q&A 11

2019-12-19

Q11

配偶者居住権はどのような条件のもと、取得することができるのでしょうか?

 

A11

配偶者居住権については新民法1028条に規定があります。同条によると、被相続人の生存配偶者が、被相続人が所有していた建物に相続開始時において居住していた場合で、以下の①及び②の時に、その居住建物の全部を無償で使用及び収益することのできる権利(配偶者居住権)を取得するとされました。

① 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき

② 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき

 

相続Q&A 10

2019-12-18

Q10

寄与分について何か変更点はありましたか?

 

A10

被相続人の親族(特別寄与者といいます。)が被相続人の財産の維持や増加について一定の寄与をしたと認められる場合、当該特別寄与者が、所定の要件のもと、「特別寄与料」の請求をすることができるようになりました(新民法1050条)。

これは、相続人以外の者が被相続人の療養看護をした場合などを想定したもので、このような療養看護(寄与)をした人に対して一定の救済策を提案することにしたのです。そのため、特別寄与者の範囲は「親族」まで広がることとなりました(新民法1050条1項括弧書き)。また、新民法においても「内縁関係」の者には寄与分が認められないということには注意が必要です。

相続Q&A 9

2019-12-17

Q9

法改正によって、法定相続分を超える部分はどう処理すべきことになったのでしょうか?

 

A9

遺産分割によるものか否かを問わず、法定相続分を超える部分については、対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないとされました(新民法899条の2第1項)。

 

相続Q&A 8

2019-12-16

Q8

遺留分について何か変更点はありましたか?

 

A8

従来から判例は、遺留分減殺請求の行使は物権的な効力を生ずるものとしてきました。この点につき新民法は抜本的な変更を行い、遺留分「侵害」請求の効果は完全に債権的なものにとどまることにしました(新民法1046条)。

具体的には、遺留分権利者が遺留分の侵害者に対して、侵害された遺留分額に相当する金銭の支払いを請求することができるようになりました。これを遺留分侵害請求権といいます。

相続Q&A 7

2019-12-15

Q7

遺言執行者について何か変更点はありましたか?

 

A7

新民法は、遺言執行者の権限を明確に規定しました。具体的には、遺言執行者は遺言内容実現のため相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有するとしたうえで(新民法1012条1項)、その権限内において遺言執行者であることを示してなした行為が、相続人に対して直接に効力を有するものとなることとしました(新民法1015条)。

相続Q&A 6

2019-12-13

Q6

遺言の保管制度とは何ですか?

 

A6

法改正によって、法務局において遺言書を保管する制度が新設されました。詳しくは「法務局における遺言書の保管等に関する法律案」をご参照ください。

相続Q&A 5

2019-12-13

Q5

自筆証書遺言が利用されやすくなったと聞いたのですが、どのように変わったのですか?

 

A5

旧法上、自筆証書遺言についてはその全文・日付・氏名を自署し、押印しなければ効力を生じないものとされていました。しかし、財産が多岐にわたる場合であってもその記載にミスがあると遺言内容が無効とされる場合が少なくありません。また、財産のすべてを自筆するのは高齢者にとって決して楽な作業ではなかったため、自筆証書遺言についてはその要式性を緩和し、遺言に添付する財産目録については自署の必要がないとしました(新民法968条2項)。これによって、財産目録についてはワープロ打ちでも構わなくなり、自筆証書遺言が書き易くなったといえるでしょう。

相続Q&A 4

2019-12-12

Q4

預貯金の仮払い制度とは何ですか?

 

A4

旧法上、実務的には、遺産分割の途中で被相続人の預貯金が引き出せなくなることから不都合を被ることが非常に多くありました。この不都合を解消すべく、家庭裁判所の判断を経ずとも預貯金の払い戻しを認める方策が用意されました(新民法909条の2)。

 

相続Q&A 3

2019-12-12

Q3

法改正によって、遺産分割上何か変わったことはありますか?

 

A3

新民法は、配偶者居住権に加えて、遺産分割の場面においても生存配偶者の保護を図ることに重きを置きました。そして、新民法は、現行の民法903条に「婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地……について遺贈又は贈与をしたときは、民法903条第3項の持戻しの免除の意思表示があったものと推定する」という規定を追加しました(新民法903条4項)。これは、生存配偶者の具体的な相続分を拡大することによって、生存配偶者の生活保護を図ろうという趣旨から設けられた規定です。

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