Archive for the ‘改正相続法’ Category
相続Q&A 7
Q7
遺言執行者について何か変更点はありましたか?
A7
新民法は、遺言執行者の権限を明確に規定しました。具体的には、遺言執行者は遺言内容実現のため相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有するとしたうえで(新民法1012条1項)、その権限内において遺言執行者であることを示してなした行為が、相続人に対して直接に効力を有するものとなることとしました(新民法1015条)。
相続Q&A 6
Q6
遺言の保管制度とは何ですか?
A6
法改正によって、法務局において遺言書を保管する制度が新設されました。詳しくは「法務局における遺言書の保管等に関する法律案」をご参照ください。
相続Q&A 5
Q5
自筆証書遺言が利用されやすくなったと聞いたのですが、どのように変わったのですか?
A5
旧法上、自筆証書遺言についてはその全文・日付・氏名を自署し、押印しなければ効力を生じないものとされていました。しかし、財産が多岐にわたる場合であってもその記載にミスがあると遺言内容が無効とされる場合が少なくありません。また、財産のすべてを自筆するのは高齢者にとって決して楽な作業ではなかったため、自筆証書遺言についてはその要式性を緩和し、遺言に添付する財産目録については自署の必要がないとしました(新民法968条2項)。これによって、財産目録についてはワープロ打ちでも構わなくなり、自筆証書遺言が書き易くなったといえるでしょう。
相続Q&A 4
Q4
預貯金の仮払い制度とは何ですか?
A4
旧法上、実務的には、遺産分割の途中で被相続人の預貯金が引き出せなくなることから不都合を被ることが非常に多くありました。この不都合を解消すべく、家庭裁判所の判断を経ずとも預貯金の払い戻しを認める方策が用意されました(新民法909条の2)。
相続Q&A 3
Q3
法改正によって、遺産分割上何か変わったことはありますか?
A3
新民法は、配偶者居住権に加えて、遺産分割の場面においても生存配偶者の保護を図ることに重きを置きました。そして、新民法は、現行の民法903条に「婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地……について遺贈又は贈与をしたときは、民法903条第3項の持戻しの免除の意思表示があったものと推定する」という規定を追加しました(新民法903条4項)。これは、生存配偶者の具体的な相続分を拡大することによって、生存配偶者の生活保護を図ろうという趣旨から設けられた規定です。
相続Q&A 2
Q2
(長期)配偶者居住権とは何ですか?
A2
生存配偶者(主に妻)の「一生涯の住まい」を確保するため、権利として規定されたものです(新民法1028条)。生存配偶者の多くは高齢であるため、相続した居住建物に最期まで住み続けたいという希望が強いのが現状です。そのため、所定の要件は課すものの、生存配偶者が当該居住建物の全部について無償で使用・収益することのできる権利(配偶者居住権)を取得するものとして、今回法改正が行われたのです。
相続Q&A 1
Q1
短期配偶者居住権とは何ですか?
A1
生存配偶者が、被相続人である配偶者に関する遺産分割に関して、話し合いが完了するまでの間、当該居住建物に無償で居住することができる権利のことです(新民法1037条)。多くの場合、生存配偶者を妻、被相続人たる配偶者を夫とすることを想定しています。
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