Q364
兄が父の預金を勝手に引き出して使い込んでいるようなのです。
父が亡くなったとき、兄が使い込んだ預金は税務上どのように取り扱われますか?
A364
勝手に引き出した預金が「貸付け」と認定されるか「贈与」と認定されるかにより、税務関係が異なります。
①「貸付け」と認定された場合
勝手に引き出した預金については贈与契約が成立していないため、父が兄に貸し付けていると認定される可能性があります。
「貸付け」と認定されると、兄が引き出した預金は、兄の死亡時にはすべて父の貸金債権として相続税の課税対象となります。
②「贈与」と認定された場合
父から兄への贈与から成立していたと認定されると、相続発生の日から3年以内に行われた引出しについては、生前贈与加算して、相続税の課税対象に含めます。
一方で贈与税の更生期間は6年間であることから、その間で贈与税が無申告となっており、その間の贈与対象財産が年110万円の基礎控除額を超えていると、本税の他に無申告加算税、延滞税などの罰金的な税金の負担も生じることになります。